コラム

町工場の製造業が潰れる理由

生かすも殺すも経営者次第

そもそも町工場が潰れて行く原因は、プロデュース力やマネジメント力が無いからです。

そして、その上に利益を出すための「計算」が出来ないのが大半です。

いわゆる「どんぶり勘定」的なのが多いのだ。

それではいつまでたっても楽な生活はできません。
ただ日々の業務作業をこなしているだけに過ぎないからです。

そんな状況では後継者が育たないし、そういう親を見て後継をしようとは決して思いません。

だから町工場の製造業が潰れて行くのです。

私は、鉄工所で丁稚奉公をしていた20歳の時に気がつきました。

それはある日、おやっさん(会長)に業務を教わっていた時の事です。

この穴あけ工程で100円の工賃だと。

そこには鉄の円盤に穴が8個ほど空いていました。

穴を空けるためには、下穴と言って小さな穴を開けてから目的の大きさの穴を開けて行く工程で、最後に面取りと言って、手を切らないように穴の角を取り除く作業をして完成なのです。

この売値(工賃)が100円

当時の自動販売機の缶コーヒーが100円

「アホくさ」「割りに合わん」と瞬時に思ったのです。

ボルトやナットの間に入れるワッシャーと言うドーナツみたいな輪っかを作る工賃においては「円」では無く「銭」の単位だと聞かされた時には、「これでホンマに儲かるん?!」でした。

お金の単位である「銭」なんて「1円」にも満たっていないのです。
しかも、現代には存在しない貨幣価値です。

その単価で生活なんて出来る訳がないですよね?

だけど、町工場という会社が存在し生活をしている現実がある。
一体どこに儲けのカラクリがあるのだろう?

と考える前に、「これ、俺がやっても生活ようせん」と思ったのです。

機械を導入し、その機械につける工具(刃物)を購入し、切削油を購入し、技術を習得するために時間がかかり… 効率が悪すぎます。

一方、その後に独立した梱包屋では、材木と釘さえあれば出来てしまうので勝負が早かったのです。

小さい箱では30分あればできるし、梱包作業を入れても1時間あれば余裕で仕上がりました。

売価も5000円以上です。

同じ製造業でも業種が違うだけでこれだけ効率が違うのです。

大きな違い

まず大きな違いは、仕事の受け方の違いにあります。

梱包業の場合は、直受けだったのに対し、鉄工所は孫請であったり、さらにまだ業者が絡んでいたりするので、自分のところに来るまでには利益がどんどん削られて行くのです。

だから潰れるしか無くなり、職人が辞め、見習いすら入って来ないのです。

なので、やるなら直受けかつ単価の良い物に特化するのが狙い目です。

ちなみに親父も現役の旋盤工ですが、4ヶ月で1年を生きる男なのです。

技術があるからこそもったいない

私は小さい頃から「手に職をつけると食いっぱぐれがない」と教わってきました。
技術があれば盗まれることが無いという理由です。

メディアでよく取り上げられる技術として、大阪の八尾にある町工場では宇宙ロケットに関する部品を製造していたり、東京の町工場では「痛くない注射針」を作ってみたりと、取り上げられる会社は氷山の一角にすぎません。

実際にはもっともっと素晴らしい技術を持った人がたくさん眠っているのです。

このようにして、日本人特有の繊細な技術があるのに、なかなか生かすことが出来ない現状に歯がゆさを感じる事があります。

製造業こそSNSで技術という情報を発信すべき

冒頭にも書いた通り、そもそも町工場が潰れて行く原因は、プロデュース力やマネジメント力がありません。

仕事さえしてたら後からお金はついてくるという「どんぶり勘定」的な考えが多く、外に向けて営業する事が苦手なのです。

そういう人達こそ「SNS」で情報発信するべきなのです。

例えば切削工程をYoutubeで流すとか。

今の工作機械は想像を絶するような刃物の動き方をするんですよ!

決して汎用旋盤加工では出来ない加工が出来てしまうのです。
私はNC旋盤のデモンストレーションを見て「スゲー!」と思いました。

そういう機械性能を国内でアピールしないまま、海外に持って行ってしまうのですから、技術も機械も盗まれて当たり前なんです。

 

 

利益計算ができないのが致命的

技術マンの最大の欠点は、利益を出すための「計算」が出来ないのが大半です。

前回作った製品によく似ているから、これくらいの値段でいいだろうって安易に価格決定をしてしまう事が多いのです。

そして何よりも「経費」がどれくらいかかっているか理解できていないから「売価」を決定できないし、「粗利」を重視するという習慣がないのです。

どんな商売でも「粗利」を重視しないと「利益」は生み出せません。

「売値」を決めるための材料として、「経費」と「原価」があります。

その「経費」と「原価」から「売値」を導き出すための計算式を知らない人が多いのです。

 

「原価」から「売値」を導き出すための計算式

売価=原価÷(1-利益率)

原価=売価-利益

=売価-売価×利益率

=売価×(1-利益率)

従って、

売価=原価÷(1-利益率)

売価に原価率(いわゆる「掛け率」)を掛けたものが、原価だからです。

(売価×原価率=原価)

というより、原価率は売価に対する原価の割合です。

(原価率=原価÷売価)

だから、原価率をもとに原価から売価を算出するには、原価を原価率で割る事になります。

原価に対して15%のマージンを確保する場合には原価×(1+0.15) で計算できますが、15%の利益(粗利)が出るべく原価にマージンを乗せる場合、利益率は売上高(売価の総和)に対して計算されるものなので、
利益÷売上高=0.15になる様に計算しなくてはなりません。

ここで、原価は売価から利益分を引いたものです。

仕入れ600円のものに15%の利益を乗せる場合の計算は、
600÷(1-0.15)=売り値 と計算します。

 

 

採算度外視は迷惑

不況になると、職人を遊ばせない為に採算度外視という、玉砕戦法に出る経営者もいますが、そういう人達は同業者にとってものすごく迷惑です。

なぜなら、その値段が業界値となってしまうからです。

梱包業界では「1リューベ1万円」という基準値があるのですが、見積書の計算をすると1万円以下になるのです。

その見積書に対し、「なんで?」を追求すると、職人を遊ばせたくない為の値段でした。

これは梱包業界に限った事ではなく、大手企業でも同じ事が行われているので、下請けに利益が残らなくなり、いつまでたっても「楽な生活」ができなくなり、給料を減らされたあげく、残業だけが増えて過労に陥るのです。

運送業界も同じで、10tトラック一台に対し利益が10円にも満たない現状があったのです。

そんな状況だからこそ「副業」を認める会社が増えるのです。
会社自体が存在していける自信が無い現れとも取れます。

この様にして、安易な値下げ戦略は自分の首を締めるだけでなく、一度下げた値段はなかなか上げる事は出来ません。

なので、最初からしっかりとした値段をつける必要があるのです。

技術は安く売るな」が私の教訓です。

なぜなら「技術」でメシを食ってるのですから、もっと自信を持つべきなのです。

ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所

そんな中、センセーショナルな本「ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所 」が発売されました。

同じ鉄工所でも世界に認められた工場が京都にあるのです。

一般的に鉄工所の利益率は「3~8%」の所、「HILLTOP株式会社」さんは「20~25%」までアップさせた経営者がいるのです。

衰退からの脱却にもヒントを与える一冊なので、町工場の経営者の方に読んで頂きたい本です。

 

 

そもそも製造業が潰れていく原因は?

1985年のプラザ合意が地獄の入り口だったのです。

バブル景気までの日本はアメリカに次ぐ経済大国2位で「夢」や「希望」がありました。

資源が無い島国日本では「モノ」を作って利益を得ていたのです。

そんな中、1985年9月22日、世界経済を安定させるために為替の安定化を図りましょうという事で、いきすぎたドル高を是正するために、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、そして日本の先進5ヶ国が外国為替市場に協調介入することが合意されました。

合意に基づき、各国はドル売りに乗り出します。

ドル円レートは、合意前は1ドル240円台だったのに対し、年末には1ドル200円台へ。

さらに1987年末には1ドル120円台となり、日本経済は一時的に円高不況に陥りました。

合意前の為替レートは240円その1年後120円と2倍の円高になったのです。

例題として

日本国産の240万円の車をアメリカに売ると1万ドルになってたのが、為替が120円になると2万ドルで売らないと同じ収入が得られなくなるという事で、莫大な値上げをしないと日本の輸出産業はやっていけなくなる仕組みなのです。

2倍の売り上げをあげる事ができないので、これから日本の工場が海外に移っていくという事が爆発的に起こりました。

経済産業省の海外生産比率の統計によるとプラザ合意までの年は3%にすぎなかったのが23.8%と製造業の海外輸出という形になったのです。

これは経済をガタガタにしてしまいます。

このようにして円高は製造業の国際競争力が低下させるために製造業が潰れて行ったのです。

 

町工場が勝てる方戦略

  • 電話はワンコールで取る
  • 相手を待たせないスピード納期
  • 急な仕事が舞い込んだときに対応できる環境を作る
  • 社員を雇うという感覚ではなく「働いてもらうという」と言う感覚

メーカーなどに問い合わせなどの電話をして、待たされたりたらい回しにされた経験がありませんか?

これは待たされる側にとってはストレスを溜める瞬間でもあります。
良い話も悪くなり、悪い話は待たされたと言う感覚から、さらにヒートアップしてきます。

なので、電話をワンコールで取る様にしていると、お客様に対しての印象がかなり変わってくるのです。

急ぎの仕事が舞い込んで来た時には、価格交渉するチャンスです。
価格を少し上げて、短納期にして上げる事でお互いの利益につながり信頼関係を築くことが出来ます。

これがまさに「はたを楽にさせる」=「働く」=「相手の役に立つ」と言う事なんですよね。

常に信頼関係と利益を上げて行くチャンスを狙いに行く事が「町工場が勝てる方戦略」なのです。

この様にして、私が丁稚奉公をしてた町工場は、私が退職した後も、どんどん発展して行ったのです。