目次
はじめに:「何かしなければ」と焦るほど、前に進めない理由
定年後の収入をどうするか、考え始めたとき、多くの人がこんな感覚を覚えるのではないでしょうか。
「このまま何もしなかったら、将来どうなるんだろう」
「副業や発信を始めた方がいいとは思う。でも、何から手をつければいいのかわからない」
検索をしても、出てくるのは「今すぐ行動しろ」「稼げるジャンル5選」といった煽り文句ばかり。
読み終わっても、なぜか頭がぼんやりとする。
その感覚は、正直なものだと思います。
情報が多すぎるのではなく、自分が何を見ていて、何を見ていないのかが整理できていないから、動けないのです。
この記事では、2500年前の戦略書『孫子の兵法』の「虚実篇」を軸に、定年後を見据えた発信・副業の考え方を整理します。
「今すぐ稼ぐ方法」ではなく、「長く続けられる型」を持ち帰っていただくことを目的としています。
よくある誤解:「全部やらなければ」という思い込み
発信を始めようとした多くの人が、最初にこう考えます。
「動画なら映像も、編集も、テロップも、BGMも、全部揃えなければならない」
これは一見まっとうな考えに見えますが、実際には非常に消耗します。
週末を8時間かけて編集しても、再生回数は一桁。
継続する前に、疲弊してやめてしまう。
問題は技術力や努力の量ではありません。
「すべてを見せることが、むしろメッセージを薄める」という発想がなかったことです。
視聴者が求めているのは、あなたの制作工程の完成度ではなく、「自分の悩みが解決するかどうか」だけです。
これを理解しておくかどうかで、発信の設計はまったく変わります。
孫子「虚実篇」とは何か
孫子の兵法の中に、「虚実篇」という章があります。
兵の形は水に象(かたど)る
水は高いところを避け、低いところへ流れる。
戦いも同じで、相手の強い部分には向かわず、弱い部分に力を注ぐのが定石だという意味です。
さらに虚実篇はこう続けます。
人皆、我が勝つ所以の形を知るも、而も我が勝を制する所以の形を知る莫し
意訳すると、「人はどうやって私が勝ったかは見える。でも、どうやってその勝ち方を作ったかは見えない」。
つまり、結果だけ見せれば十分で、プロセスを全部開示する必要はないということです。
この視点を、現代の情報発信に置き換えてみると、見えてくるものがあります。
現代への応用:「虚」と「実」を使い分ける
虚実篇の教えを発信に当てはめると、こう整理できます。
見せなくていい「虚」とは:
完璧な編集、試行錯誤の過程、まだ収益化できていない現状、相談相手がいないといった弱点——これらは、視聴者には関係のない情報です。
むしろ見せることで、メッセージが散漫になります。
見せるべき「実」とは:
自分が自信を持って語れるスキル、習慣として継続できていること、他の人に価値を提供できる経験や知識——これらが、発信の核になります。
たとえば、10年以上朝4時起きを続けてきた習慣があるなら、それは多くの人にとって再現したい「実」です。
会社員として本業を守りながら発信を続ける時間術も同様です。
自分では当たり前と思っていることが、他人には価値になることは珍しくありません。
発信を整理するとは、「自分に何があるか」を棚卸しし、見せるものと見せないものを意識的に選ぶことです。
音声配信という「別の戦場」を選ぶ
動画編集はレッドオーシャンです。
プロの映像クリエイターが溢れている場所で、本業を持つ50代が週末の限られた時間で戦おうとしても、消耗するだけです。
孫子の言葉を借りれば、「水は高いところを避ける」。
強いところとは戦わない。
音声配信は、発信における「別の戦場」のひとつです。
静止画1枚と録音だけで成立するため、編集にかかる作業時間は動画の10分の1以下になります。
しかも、視覚情報がない分、リスナーの認知負荷が下がり、集中力が持続しやすいという特性があります。
結果として、平均視聴完了率が大幅に上がることも起きます。
作業量が減れば、継続しやすくなります。
継続すれば、コンテンツが積み上がります。
積み上がったコンテンツは、時間が経っても再生され続ける「資産」になるのです。
実践視点:今日からできる「考え方の整理」
まず必要なのは、行動の前に「自分の棚卸し」です。
問いかけてみてください:
自分が自信を持って語れることは何か。
10年以上続けてきた習慣があるか。
仕事の中で培ってきた専門的な知識や視点はあるか。
これらをリスト化するだけで十分です。
その中から、他人に価値がありそうなものを1つか2つ選ぶ。
それが発信の出発点になります。
次に、プラットフォームの選択です。
ゼロからブログを構築するよりも、YouTube、Podcast、stand.fmのように、すでに人が集まっている場所で発信する方が、検索エンジンや推薦アルゴリズムを使えるため、届く速度が違います。
そして、週1本のペースで音声を投稿する。
5分でかまいません。
スマートフォンで撮った静止画1枚と、録音された声。
それだけで1本のコンテンツになります。
52歳でこのペースを始めれば、定年の60歳までに約400本。
65歳までなら約650本。
それだけのコンテンツが積み上がれば、それ自体が資産です。
注意点:焦って動くことのリスク
「収入が不安だから早く始めなければ」という気持ちはよくわかります。
ただ、焦りから動いた発信は続きません。
最初から収益を求めると、反応のなさに耐えられなくなるからです。
コンテンツが資産になるには時間がかかります。
最初の数十本は、ほぼ誰にも見られません。
それは失敗ではなく、資産の仕込み期間です。
孫子の虚実篇の教えは、ここにも応用できます。
「戦わずして勝つのが最善だ」。
今、勝ちにいかなくていい。今は、勝てる場所を選び、積み上げる時期です。
焦りは判断を歪めます。
投資詐欺に引っかかるのも、必要のない高額講座を買うのも、多くは焦りから来ています。
定年後の収入を作りたいなら、今の本業という安全網があるうちに、ゆっくりと確実に積み上げることが最も合理的な選択といえます。
まとめ:視点を持ち帰ってください
この記事で伝えたかったことは、一つです。
完璧を目指さなくていい。すべてを見せなくていい。
孫子の虚実篇が教えるのは、戦い方の効率化ではなく、「戦わなくていい場所を選ぶ」という発想の転換です。
音声配信という選択は、その一例に過ぎません。
大切なのは、自分が持っている「実」を見つけ、見せなくていい「虚」を切り落とし、続けられる型を作ることです。
今日できることは、大きな一歩でなくてかまいません。
自分の棚卸しを5分するだけでも、昨日とは違う視点が生まれます。
定年後の収入は、今日から少しずつ仕込んでいくものです。
急ぐ必要はありませんが、始めるのに早すぎることもありません。
この記事を読んでくださったあなたへ
「頑張れば報われる」
「行動すれば道は開ける」
そう言われるたびに、どこか違和感が残ることはありませんか。
その感覚を置き去りにしないために、立ち止まって考えるためのメルマガを用意しています。
ノウハウでも成功談でもなく、自分の声を聞くための時間をお届けします。
読むかどうかは、いつでもやめられます。
今すぐ何かを変える必要もありません。
ただ、「急がなくていい場所」をひとつ持っておきたい方へ。
▼ メルマガはこちら : 「静かなる逆襲。」
また、この記事のもとになった音声配信は、以下のプラットフォームで聴くことができます。
通勤中や朝の時間のお供に。
(毎週日曜日:朝6時配信中!)
