50代の逆襲。

定年後の収入が不安な50代へ|孫子「虚実篇」で整理する発信の戦略

はじめに:「何かしなければ」と焦るほど、前に進めない理由

定年後の収入をどうするか、考え始めたとき、多くの人がこんな感覚を覚えるのではないでしょうか。

「このまま何もしなかったら、将来どうなるんだろう」

「副業や発信を始めた方がいいとは思う。でも、何から手をつければいいのかわからない」

検索をしても、出てくるのは「今すぐ行動しろ」「稼げるジャンル5選」といった煽り文句ばかり。

読み終わっても、なぜか頭がぼんやりとする。

その感覚は、正直なものだと思います。

情報が多すぎるのではなく、自分が何を見ていて、何を見ていないのかが整理できていないから、動けないのです。

この記事では、2500年前の戦略書『孫子の兵法』の「虚実篇」を軸に、定年後を見据えた発信・副業の考え方を整理します。

「今すぐ稼ぐ方法」ではなく、「長く続けられる型」を持ち帰っていただくことを目的としています。

よくある誤解:「全部やらなければ」という思い込み

発信を始めようとした多くの人が、最初にこう考えます。

「動画なら映像も、編集も、テロップも、BGMも、全部揃えなければならない」

これは一見まっとうな考えに見えますが、実際には非常に消耗します。

週末を8時間かけて編集しても、再生回数は一桁。

継続する前に、疲弊してやめてしまう。

問題は技術力や努力の量ではありません。

「すべてを見せることが、むしろメッセージを薄める」という発想がなかったことです。

視聴者が求めているのは、あなたの制作工程の完成度ではなく、「自分の悩みが解決するかどうか」だけです。

これを理解しておくかどうかで、発信の設計はまったく変わります。

孫子「虚実篇」とは何か

孫子の兵法の中に、「虚実篇」という章があります。

兵の形は水に象(かたど)る

水は高いところを避け、低いところへ流れる。

戦いも同じで、相手の強い部分には向かわず、弱い部分に力を注ぐのが定石だという意味です。

さらに虚実篇はこう続けます。

人皆、我が勝つ所以の形を知るも、而も我が勝を制する所以の形を知る莫し

意訳すると、「人はどうやって私が勝ったかは見える。でも、どうやってその勝ち方を作ったかは見えない」。

つまり、結果だけ見せれば十分で、プロセスを全部開示する必要はないということです。

この視点を、現代の情報発信に置き換えてみると、見えてくるものがあります。

現代への応用:「虚」と「実」を使い分ける

虚実篇の教えを発信に当てはめると、こう整理できます。

見せなくていい「虚」とは:

完璧な編集、試行錯誤の過程、まだ収益化できていない現状、相談相手がいないといった弱点——これらは、視聴者には関係のない情報です。

むしろ見せることで、メッセージが散漫になります。

見せるべき「実」とは:

自分が自信を持って語れるスキル、習慣として継続できていること、他の人に価値を提供できる経験や知識——これらが、発信の核になります。

たとえば、10年以上朝4時起きを続けてきた習慣があるなら、それは多くの人にとって再現したい「実」です。

会社員として本業を守りながら発信を続ける時間術も同様です。

自分では当たり前と思っていることが、他人には価値になることは珍しくありません。

発信を整理するとは、「自分に何があるか」を棚卸しし、見せるものと見せないものを意識的に選ぶことです。

音声配信という「別の戦場」を選ぶ

動画編集はレッドオーシャンです。

プロの映像クリエイターが溢れている場所で、本業を持つ50代が週末の限られた時間で戦おうとしても、消耗するだけです。

孫子の言葉を借りれば、「水は高いところを避ける」。

強いところとは戦わない。

音声配信は、発信における「別の戦場」のひとつです。

静止画1枚と録音だけで成立するため、編集にかかる作業時間は動画の10分の1以下になります。

しかも、視覚情報がない分、リスナーの認知負荷が下がり、集中力が持続しやすいという特性があります。

結果として、平均視聴完了率が大幅に上がることも起きます。

作業量が減れば、継続しやすくなります。

継続すれば、コンテンツが積み上がります。

積み上がったコンテンツは、時間が経っても再生され続ける「資産」になるのです。

実践視点:今日からできる「考え方の整理」

まず必要なのは、行動の前に「自分の棚卸し」です。

問いかけてみてください:

自分が自信を持って語れることは何か。

10年以上続けてきた習慣があるか。

仕事の中で培ってきた専門的な知識や視点はあるか。

これらをリスト化するだけで十分です。

その中から、他人に価値がありそうなものを1つか2つ選ぶ。

それが発信の出発点になります。

次に、プラットフォームの選択です。

ゼロからブログを構築するよりも、YouTube、Podcast、stand.fmのように、すでに人が集まっている場所で発信する方が、検索エンジンや推薦アルゴリズムを使えるため、届く速度が違います。

そして、週1本のペースで音声を投稿する。

5分でかまいません。

スマートフォンで撮った静止画1枚と、録音された声。

それだけで1本のコンテンツになります。

52歳でこのペースを始めれば、定年の60歳までに約400本。

65歳までなら約650本。

それだけのコンテンツが積み上がれば、それ自体が資産です。

注意点:焦って動くことのリスク

「収入が不安だから早く始めなければ」という気持ちはよくわかります。

ただ、焦りから動いた発信は続きません。

最初から収益を求めると、反応のなさに耐えられなくなるからです。

コンテンツが資産になるには時間がかかります。

最初の数十本は、ほぼ誰にも見られません。

それは失敗ではなく、資産の仕込み期間です。

孫子の虚実篇の教えは、ここにも応用できます。

「戦わずして勝つのが最善だ」。

今、勝ちにいかなくていい。今は、勝てる場所を選び、積み上げる時期です。

焦りは判断を歪めます。

投資詐欺に引っかかるのも、必要のない高額講座を買うのも、多くは焦りから来ています。

定年後の収入を作りたいなら、今の本業という安全網があるうちに、ゆっくりと確実に積み上げることが最も合理的な選択といえます。

まとめ:視点を持ち帰ってください

この記事で伝えたかったことは、一つです。

完璧を目指さなくていい。すべてを見せなくていい。

孫子の虚実篇が教えるのは、戦い方の効率化ではなく、「戦わなくていい場所を選ぶ」という発想の転換です。

音声配信という選択は、その一例に過ぎません。

大切なのは、自分が持っている「実」を見つけ、見せなくていい「虚」を切り落とし、続けられる型を作ることです。

今日できることは、大きな一歩でなくてかまいません。

自分の棚卸しを5分するだけでも、昨日とは違う視点が生まれます。

定年後の収入は、今日から少しずつ仕込んでいくものです。

急ぐ必要はありませんが、始めるのに早すぎることもありません。

この記事を読んでくださったあなたへ

「頑張れば報われる」
「行動すれば道は開ける」

そう言われるたびに、どこか違和感が残ることはありませんか。

その感覚を置き去りにしないために、立ち止まって考えるためのメルマガを用意しています。

ノウハウでも成功談でもなく、自分の声を聞くための時間をお届けします。

読むかどうかは、いつでもやめられます。

今すぐ何かを変える必要もありません。

ただ、「急がなくていい場所」をひとつ持っておきたい方へ。

▼ メルマガはこちら : 「静かなる逆襲。


また、この記事のもとになった音声配信は、以下のプラットフォームで聴くことができます。

通勤中や朝の時間のお供に。
(毎週日曜日:朝6時配信中!)


モバイルバージョンを終了