映画の見どころ
織田信長が、安土桃山城を作るにあたり、「吹抜けのあるお城」を作って欲しいと注文しました。
発注は、棟梁三人のプレゼンによって決めると言う命令が出た中、1人だけ「吹抜けのあるお城」の模型を作って来ませんでした。
その理由として、主人公が三人の棟梁が作ったお城の模型を、主君の目の前で燃やし始める光景は、注文に反した理由が一目瞭然で分かり、誰もが納得する内容だったのです。
物事を大きく見る
時は1576年(天正4年)、織田信長は安土桃山の地に山を利用した天高くそびえ立つ、天下一の大きなお城を建てたいと考えていました。
この場所は、北海道や沖縄を除いた本州のど真ん中であり、他の土地よりも高い為、どの地域から攻め込まれも、丸見えと言う好条件の場所を見つけたからでした。
そして、お城の中は吹抜けにして、その上で住みたいと夢を描き、お城作りを発注したのです。
『城作りは国作り」と言い、すでにこの時点で地球儀を見て、日本は小さい国と認識していたようです。
本質は何かを見極める
そもそも、お城と言うのはお殿様を守る為のものなので、簡単に落城させてはいけません。
この様に、先に答えを聞けば納得するものの、仕事上においては、お客様の意向に背いてはいけないと言う思考が強く、「本質は何か」と言うことを忘れがちです。
注文は「吹き抜けのあるお城」なので、「お殿様を守る事」と言う本質を忘れがちになります。
主人公である尾張熱田の宮大工、岡部又右衛門は、考えに考えたあげく、注文の吹き抜けがあるお城を作りませんでした。
その理由は、火攻めにあった時、吹き抜けのお城だと、その吹き抜けがある事で火の通り道が出来て、瞬く間に炎となってお城を焼き尽くしてしまうからです。
これは、図面や口頭で説明をしても納得してもらえないので、実際に試してみる事にしました。
意に反するには証明できなければいけない
三人の棟梁が作ったお城の模型を、中庭に三つ並べてそれぞれのお城に火を放ちました。
するとどうでしょう、吹き抜けのあるお城は火の回りが早くてみるみる焼け落ちていくのですが、岡部又右衛門が作った模型だけは、火を放ってもなかなか燃え広がらず、落城するにもかなりの時間がかかったのです。
論より証拠、一目瞭然とはこの事で、誰もが納得する内容に織田信長が気に入って、このお城を作る総棟梁として岡部又右衛門に任命しました。
このシーンがなんとも言えない見どころのシーンです。
この様にして、物事の本質をしっかり見抜き、誰が見ても納得できる内容であれば、お客様に気に入っていただく事ができ、次の注文に繋がっていくと言う、現代の営業に置き換えながら、この映画を楽しむ事ができます。
もっと言うと、言われたままの事だけしかできなければ、それ以上でもないしそれ以下でもありません。
これって現代人が最も多く取りがちな行動ですよね。
それなのに、多くを望もうとするから次の注文が取れなくて負のスパイラルに陥っている事すら気が付かないのです。
相手の意図は何で、その本質は何かを深掘りして考えていくと、必ず戦略が見つかるし、必ず良い答えが見つかります。
それこそが「価値」であり、それに対して「お金」と言う数値で評価されるのです。
安土城は「天守閣」ではなく「天主閣」
「天主」とは天の主であり、あらゆる神々の上に立つものを意味していて、信長は安土城天主に住むことで、あらゆる宗教のあらゆる神を随える者であると主張しているのです。
もしかしたら、織田信長は自ら神様になろうとしていたのかもしれませんね。