毎年増え続ける空き家に、国や自治体は頭を悩ませています。
2033年には空き家数が2000万戸を突破し、空き家率は30.4%となり、住宅の3軒に1軒は空き家という状況が予測されています。
その対策としての法律ができました。
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空き家を放置すると固定資産税が3〜4倍に?!
年間を通じて人の出入りがなく、水道や電気、ガスの使用も見られない状態を指す「特定空き家」として認定されて、減額特例が適用されなくなった場合は、更地の計算になるので、固定資産税が3〜4倍に跳ね上がります。
簡単に言うと、放置し続ける空き家について、行政からの助言や指導を受けてもそれに従わなかった場合、行政としては状況改善の勧告を行います。
この時同時に行われるのが「固定資産税の住宅用地の特例を外す」と言う対応で、この特例が外された場合、固定資産税が跳ね上がると言う仕組みです。
固定資産税の住宅用地の特例とは、住宅が現存する200平方メートルまでの土地に対する固定資産税を6分の1に、200平方メートルを超える部分の土地に対しては3分の1に減額するという特例があります。
この特例の減税効果は大きく、たとえば200平方メートルの土地に60万円の固定資産税がかかっている場合、10万円に減額されます。
土地に対する税金には「負担調整措置」制度があり、負担調整措置は、固定資産税の急激な上昇で、税負担が重くなりすぎないように調整する仕組みがありますので、それをひっくるめると固定資産税が3〜4倍に跳ね上がると言う計算になるのです。
一方で、家屋を取り壊して更地にすると、商業地と同じ「非住宅用地」扱いとなります。
所有者さんは「固定資産税の住宅用地の特例」がある事と、思い入れのある家を残しておきたいと言う心理的な理由から、空き家が増え続けているのです。
空き家が増え続けていく事によって起こる被害や公害を阻止する為に、この特例を外そうと言う法律なのです。
空き家が増え続けている2つの原因
- 大きな原因は、高齢化社会における、団塊世代の相続が進んで、空き家が急激に増加している。
- 核家族化によって実家を住み継ぐ事が減り、空き家所有者が、管理や活用について問題を抱えている
と言う以上の2点が原因と考えられています。
上記の悩みの背景には、新築物件が増えて、中古の家屋に買い手がつきづらく、売れても二束三文にしかならない上に、解体費用すらないと言った現状もあります。
総務省が5年に1回実施する「住宅・土地統計調査」によると、2018年(平成30年)の時点での空き家は、日本全国で848万9千戸です。
この戸数は過去最高で、今後も増え続けて行くと予想されます。
空き家対策特別措置法が2015年に施行
あまりにも空き家が増え続けて社会問題となった為、行政が介入出来るようにと法律ができました。
それを「空き家対策特別措置法」と言います。
空き家の危険度によって、行政が法的効力を持って持ち主へ対策を指導できる様に定められた法律です。
特定空家とは
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
の事を指します。
空き家を放置する理由と弊害から起こる経済面でのデメリットからこの法律ができたわけですが、着実に進んで入るものの進捗は緩やかな状態です。
進捗が緩やかな理由は、所有者が処分をしたくとも売却や賃借がままならず、市町村も様々なアイデアで空き家の活用を勧めてはいるものの有効打が見つからないと言う背景があります。
少子高齢化が進む現代において、特に地方では空き家がどんどん発生している現状があるのです。
そんな歯痒い事をしていてはラチがあかないと言う事から、相続した土地を国に引き取ってもらう事ができる法律ができました。
その法律は「相続土地国庫帰属法」と言うもので、2023年4月27にちから施行されます。
相続土地国庫帰属法とは
「相続土地国庫帰属法」とは、相続または相続人に対する遺贈によって土地を習得したものが、法務大臣に対して、その土地の所有権を国に返還させる事についての認証を求める事ができる制度です。
この法律によって、相続などで取得した土地は国に引き取ってもらう事ができる様になりました。
相続はプラスの面ばかりでは無い事に注意が必要です
「相続」と聞けば、お金や資産が舞い込むことばかり考えがちですが、借金という「負の資産」も、もれなくついてきます。
つまり、親の借金を子が相続した場合は、その子に返済する義務が発生すると言うことです。
親の負債を相続したく無い場合は、相続放棄をする事によって、その相続人は初めから相続人ではなかった事になります。
相続放棄によって相続人が不在となった場合の相続財産は、最終的に国に面倒を見てもらう事ができると言う法律があります。
この事から、土地も同じく放棄して国に面倒を見てもらおうと言う法律ができたのです。
相続土地国庫帰属法の対象
土地を国に返還する為には、対象となる土地でないといけません。
この法律では、相続及び相続人への遺贈によって入手した土地のみが対象です。
そして、その条例の中には「土地の管理に過大な費用・労力がかかる土地」について制限をかけています。
ですから何でもかんでも国に面倒を見てもらおうと言うわけには行かないのです。
土地を国へ返すのですから、建物が立っている場合は解体をしなくてはいけません。
その解体費用は所有者の負担となります。
国する事ですから、当然の事ながら手間と時間がかかります。
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相続から3年以上放置すると罰則
不動産を相続した場合、その不動産名義を亡くなった人から相続した人に変更する必要があります。
この手続きを「相続登記」と言い、今まではこの相続登記は当事者の任意でしたが、相続登記せずほったらかしの土地が多い為に、誰の名義の土地か分からなくなってしまっているケースが少なくありません。
そういった事から「所有者不明の土地問題」や「空き家問題」につながって、災害復興や都市開発の支障となって問題となっているのです。
この様な事から、土地や建物に対して今の所有者が誰であるのか、権利と責任をはっきりさせる為に2024年(令和6年)4月1にちから「相続登記が義務化」となります。
相続から3年以内に登記をしないと罰則【10万円以下の過料】が科せられることになります。
現在すでに相続登記をせずに放置されている不動産も義務化の対象になりますので、今のうちから対処しておくことが必要です。
決断は早い方が良い
特に地方出身の方は、思い入れのある家を残しておきたいと言う心理的な理由があると思います。
将来、自然豊かな思い出ある土地で暮らしてみたいと言う夢です。
が、実際問題、これってすぐに実行できないものですよね?
最近読んだ記事ですが、芸能界のAさんも、「実家を頼む」と言う父の遺言と、相続した田舎の家に将来住みたいと思い、リフォームをして管理に費用をかけながらも、25年間空き家としていましたが、賃貸もままならず、解体も費用がかかる事から自治体の「空き家バンク」に登録し、その家は業者が600万円で買っていったそうです。
家は600万円で売れたけれども、今まで維持費としてかけた費用は1600万円ほどと言うので、トータル的に損をしたといっていました。
この様な事から決断は早い方が良いのです。
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