概要
営業業務の移り変わりを時系列を追って解説されており、未来予想図から、今後どの様な心構えで「営業」に向き合わなければいけないのかを非常に分かりやすく解説されている本で、読むほどに引き込まれていく文章に魅力を感じました。
営業マンは必読書です!
なぜ「営業マンはいらなくなる」のか?
AIが導入されていくに従って、先読み出来るものは、ほとんど自動で行われていく為に、ヒトと言う労働力が要らなくなってきます。
現代でも、「Amazon」の「おすすめはこちら」や「YouTube」の「おすすめ動画」など、ジャストなタイミングで使用者の心を鷲掴みにして次の購買欲につなげていく販促営業が、これから他の業界でも、もっと加速していくと想像されます。
このような事から、従来通りの営業方法では太刀打ちできなくなって、「営業マン」と言うのが排除されていく事が予測されます。
その証拠に近年では「45歳以上リストラ計画」と言うのが話題になりましたよね?
要点 ポイント解説
- 戦略をしっかりと練る
- 戦略が正しければ「営業」は要らない
- 経営者思考を持て
- 「体験」を売る
営業マンとして生き残る方法
これからの営業マンは「経営者的戦略思考」でなければ生き残っていく事が難しくなるでしょう。
ならば、経営者になれば早くねぇ? って話なんですけど。
そぉなんです、営業マンの日々の活動からなる思考は、経営者思考により近いので、独立開業も夢ではありません。
その「経営者的な思考」が出来るかできないかで、今後、「営業マン」として生き残れるかどうかとなってくるのです。
自分と照らし合わせて振り返る
従来の様な御用聞きの営業方法は効率が悪くて、時間がない現代社会においては、相手や自分の時間を奪ってしまい、効率の悪い営業方法なので、相手に迷惑をかけずして自分の時間を有効に使える様な営業方法を考えなくてはいけません。
しかも、情報過多の現代においては、お客様の方がその商品に対しての情報をたくさん持っておられます。
インターネットが普及すると、物事に対して事前に情報収集ができるので、「モノを買う」となると、値段でしか判断しなくなるのです。
実際、私もそうで、欲しい物があると、まずはネットで情報収集して店頭に出かけ、商品を確認し、店員さんと交渉して、ネットよりもお得感が味わえられたら店頭で買い、そうでなければネットで安い所を探して購入します。
その時、店頭で求めるのは「ネットでは知り得ない情報」が欲しいのです。
例えば家電であれば、モーターメーカーはどこそこが強いとか、内部構造などの仕組みや雑談的な情報が購買力に火をつけます。
そして、「そのヒトの人柄」で「親切」かどうかが決定打となるのです。
そこに「体験」が加わると記憶と感動が一体化して、口コミとして広がる事が期待されるのです。
先日、トヨタのディーラーに車検を頼みました。
代車として用意されていたのは、新型カローラで、フットブレーキ(サイドブレーキ)の無い新車だったのです。
ダッシュボードには大きなタブレットのようなタッチパネルがあり、フットブレーキ(サイドブレーキ)の無い新車に乗る事によって、自然と体感ができ、ディーラーに帰った時は、新車の値段と乗り心地の感想などを、こちらから話してしまう絶妙な営業方法だったのです。
データ蓄積と共有が鍵となる
スピーディーに物事をこなして行く為には事前準備が非常に重要となってきます。
その為には「データ」を取る必要があり、チームで動いているなら、その「データ」を共有して、担当者が変わっても、お客様がイチから説明しなくても、滞りなく営業マンが業務を行えるように理解しておく必要があるのです。
ここでは「引き継ぎの重要性」を学ぶ事ができ、これは「クラウド」を利用する事で、スムーズに行う事ができます。
そこにAIが入ってくると、お客様に対してもっと適切なアドバイスや商品を提供できるので、非常に重要な要素となります。
ノルマ制度の廃止
2019年4月、コンサルティング会社であるアタックス・セールス・アソシエイツが発表した「日本の営業実態調査2019」では、46・1%の営業マンが「昨年度のノルマを達成できなかった」と回答した。
達成できない上に、コスト増であるならその戦略を止めるべきである。
引用にもあるように、ノルマがある事で営業マンを苦しめ、その苦しみから逃れる為に不正を行うようになり、それが社会問題化すると企業の存続も危うくなってきます。
そもそもは、このノルマを達成させなければいけないと言う使命感がコストを増やしている根本たる原因だという事を経営者や、決定権を握る役職の人は気付いていない。
その最もたるものが「自爆営業」と言われるもの。
これは、ノルマを達成させなければ怒られてしまうという恐怖感から、自ら購入して表面的に達成させたというインチキに過ぎない。
この「ノルマ」の仕組みを考えると、そこには雇用を維持するための戦略であることが分かる。
雇用を維持する為に過大な営業目標を掲げ、ノルマを徹底することで何とか売り上げを確保するという「営業戦略」が「経営戦略」となり不祥事につながるのです。
「郵便局の保険押し売り問題」がそうであるように。
この本を何で知ったか
現代ビジネスの「テスラの成功が示した「営業マンはもういらない」の残酷な現実」というタイトルから興味をひかれ、購入に至りました。
著者プロフィール
株式会社日本創生投資 代表取締役社長。
1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。
ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&A、株式上場支援などを行う。
2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。
2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業承継・事業再生などに関するバイアウト投資を行なっている。
2018年4月に上梓した『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』が累計16万部越えのベストセラーとなり、読者を中心としたオンラインサロン(経営塾)「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン」の参加者は200名を超える。
また、ロケット開発会社インターステラテクノロジズの社外取締役、堀江貴文氏が主宰する「堀江道場」のオブザーバーなども務める。
著書に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい・会計編』(講談社)、『資本家マインドセット』(幻冬舎NewsPicks)、『まんがでわかる 絶対成功! ホリエモン式飲食店経営』(講談社)などがある。
Twitterアカウントは「@310JPN」